暴力的な夢は将来の脳障害の前兆?:研究結果 « WIRED.jp Archives
暴力的な夢は将来の脳障害の前兆?:研究結果
暴力的な夢を見て睡眠時の異常行動が起こる「REM睡眠行動障害」(RBD)の患者は、15〜50年後に神経変性疾患を発症するケースがきわめて多いことが明らかになった。
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Image: Flickr/Robert-Couse Baker、サイトトップの画像は日本で撮影、Wikimedia
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鮮明で暴力的な夢は、50年も先の脳障害の発症を予告している可能性があることを、最新研究が明らかにした。『Neurology』誌の8月10日号に発表されたこの研究結果は、一部の神経疾患が、実際に診断が下される何十年も前から患者の中に潜んでいる可能性を示している。
REM睡眠行動障害(RBD)は、不可解な睡眠障害の一種だ。RBDを生じると、見る夢の性質が突如として変化する。夢はどんどん暴力的なものになり、しばしば攻撃者を撃退しなければならないという内容になる。
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通常、夢を見ている間は筋肉が動かせないが、RBDを生じた睡眠者(多くは男性)は、パンチを繰り出したり、身をよじったり、大声をあげたりといった夢の中での動作を、実際に行動に移してしまう。そのため、ベッドで一緒に寝ている人がケガをしたりする。[REM睡眠時には脳は覚醒時に近い活動をしている一方で、全身の骨格筋は緊張が低下している。そのため、通常であれば夢で見たことを行動に起こすことはないが、RBDでは、何らかの原因で筋緊張の抑制が障害されるために、夢で見たことをそのまま行動に移してしまう]
RBDは従来、1つの独立した障害と考えられていた。しかし追跡研究の結果、驚くほど多くのRBD患者が、その後、神経変性疾� ��[中枢神経の中の特定の神経細胞群が徐々に死んでゆく病気]を発症していることが分かった。たとえばパーキンソン病や、レビー小体型認知症などだ。具体的な数字は研究によって異なるが、RBD患者がのちに神経変性疾患を発症した確率は80〜100%にのぼるとするデータもある。
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今回発表となった研究は、ミネソタ州ロチェスターにあるメイヨー・クリニックの神経科医Bradley Boeve氏のチームが、RBDから神経変性疾患まで、発症にどの程度の間隔があるのかを調べる目的で実施したものだ。
Boeve氏のチームは、メイヨー・クリニックの医療記録をもとに、まずRBDと診断された患者が、次に何らかの神経変性疾患を発症するまでの期間は、最短で15年間であることを割り出した。
基準に当てはまった患者27名(うち女性はたった3名で、RBDがなぜか男性に多い傾向を反映している)の場合、RBDの発症から神経変性疾患の発症までの期間は平均で25年だった。うち6名の患者の場合、配偶者がハネムーンまたはその直後に最初にRBDに気付いたと、Boeve氏は述べている。RBDがパーキンソン病の発症に50年も先んじていたケースも1例あった。
これほど長いインターバルがあれば、その間に「未知の強力な神経保護物質が発見され」、脳が深刻な損傷を受ける前にその物質を使用できる望みも出てくると、ミネアポリスにあるミネソタ地域睡眠障害センターの睡眠専門家Carlos Schenck氏は指摘する。一部の研究者の見解によると、認知症は、その徴候が現われるころにはすでに手遅れであり、損傷を回復させられる段階をすぎているのだという。
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