排卵期の腹痛、やり過ごすしかない? - 対馬ルリ子先生に聞く カラダと向き合う - 専門家相談[ジョブラボ:朝日新聞社]
生理と生理の間の痛み。排卵痛でしょうか?
生理以外の日に、1~2日ほど、下腹部あたりに痛みを感じることがあります。生理痛に似ていますが、基礎体温を見てみると、ちょうど排卵日付近に痛みがあることがわかりました。昔からあったように思いますが、ここ数年でひどくなり、最近では吐き気も感じるようになりました。検診では問題はなく、相談したところ、やはり「排卵痛なのでは」と言われます。病気ではないので、やりすごすしかないのでしょうか。年齢は38歳で、子どもがいます。
自分に合った対策方法を探し、快適に過ごせる方法を見つけましょう。
立っているに座って激しい腰の痛み
排卵痛を自覚している人は、現代女性には多いといえます。月経と月経の間に排卵があることは正常ですが、生活に差し支えるような排卵痛があるのは正常とは言えません。また、「だから手術しなければいけない」ということもありません。排卵痛の原因は、卵巣の膜が破れてお腹の中に卵が飛び出していくことです。昔に比べ、現代女性は排卵が多すぎるので、卵巣が働きすぎの状態だったり、排卵痛も自覚しやすいのです。妊娠と授乳の期間が長く、生涯を通じての排卵回数が少なかった時代に比べると、現代女性の排卵回数はその10倍とも言われています。
腫れと直腸のかゆみ
月経も排卵も生理現象ではありますが、月経は子宮の内膜がはがれること、排卵は卵巣の皮が破れて、中の卵が飛び出していくことです。月経は子宮内膜にとって大きな変化ですし、排卵は卵巣にとっては爆発であり、傷を負うことですから、やはり大きな負担です。排卵痛で吐き気や胃の痛みなどを感じるのは、「腹膜刺激症状」といいます。排卵時は、卵胞という水がたまった袋が破れて水がばらまかれたり、卵巣の皮が破れるときに血管が断裂して出血して、腹膜が刺激されます。お腹の中はひとつの部屋になっているので、腹膜のどこが刺激を受けても、腹部全体が反応し、それが吐き気や胃の痛みにつながっていくというわけです。
水疱液の人 "に触れることによって広がる"
相談者の方は検診では異常はないとのことなので、排卵痛の治療として考えられるのは、低用量ピルです。低用量ピルを飲んでいる間、排卵はお休みしているため、排卵痛はもちろん楽になります。それでも排卵時期に牽引痛、つまり何かが引っ張られるような痛みや、月経前症状が出る方もいますが、服用していないときに比べれば、格段に軽くなることは確かです。排卵がある限りピルを飲まないといけない、ということはありません。例えば半年間だけピルを飲み、その後はピルを休んでも、排卵痛が以前よりずっと楽になることがあります。これは、ホルモンのバランスが整えられるためです。
ふたつめの対策は、漢方薬の服用です。おすすめなのは、痙攣を抑える「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」。排卵により腹膜が刺激され、痙攣するような痛みを感じるときによく効きます。また、お腹全体が張った感じを楽にしてくれる「桂枝加芍薬湯(けいししゃくやくとう)」もあります。低用量ピルと漢方薬を併用する方法もあります。低用量ピルや漢方薬のほか、痛み止めなどである程度緩和できるようなら、胃に負担が少ない痛み止め「ロキソニン」や、痙攣を抑える「ブスコパン」などを服用してもよいでしょう。こういった痛み止めは、月に数日、月経痛や排卵痛のときに服用するわけですので、使っても問題はありません。
また、疲れや冷えなどの要因が重なって、排卵痛が重くなっている人もいます。排卵時期に体を温めたり、軽い運動をして、血の巡りをよくしてあげると、痛みが軽減できます。腰骨の内側あたりを下に向けてさするのも効果があります。骨盤内の筋肉の緊張を取って痛みをやわらげてくれます。排卵痛は病気ではありませんが、排卵周期のたびに苦痛があり、憂鬱になるようでは、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)が下がってしまいます。痛みやつらさはなるべく取り去り、生活をより快適にするという考えの婦人科医や、漢方医に相談するなどして、自分に合った対策法を探っていきましょう。
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